2011年7月19日火曜日

ケアマネジメントシステム開発 居宅サービス計画書(2) 調査

調査第三回目は、「居宅サービス計画書(2)」です。
今回は複雑でまとめるのに時間がかかってしまい、大変遅くなりました。何とぞご容赦くださいm(__)m

1、「居宅サービス計画書(2)」とは?

「居宅サービス計画書(2)」は、介護サービスの基本方針をもとに、具体的な計画に落とし込むために使用される文書です。

2、様式の例

様式は、介護保険制度において「第2表」と定義され、指定されています。
書式例は以下の通りです。


※ この様式は、ケアマネジメントオンラインさまのHPから入手致しました

3、様式について考察

この様式では、まず「生活全般の解決すべき課題」において利用者の抱えるニーズを明確にし、各ニーズ毎に「目標」と「援助(サービス)内容」を定めるようになっています。
各項目毎に、以下に考察します。

3-1、生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

利用者が日常生活において抱えている課題(ニーズ)を列挙します。
ここで列挙する項目は、前回「居宅サービス計画書(1)」の基本方針に対し、極めて具体的なものとなっており、どう記述すれば良いか戸惑うところですが、そのヒントは「アセスメントシート」にあります。

「アセスメントシート」では、課題分析に関する項目として以下が掲げられていました。

<課題分析(アセスメント)に関する項目> 計14項目
・健康状態
・ADL

・IADL
・コミュニケーション能力
・社会との関わり
・排尿・排便
・褥瘡・皮膚の問題
・口腔衛生
・食事摂取
・問題行動
・介護力
・居住環境
・特別な状況


これらの項目をキーとして、各ニーズを決めることができます。

例えばADLであれば、「歩けるようになりたい」「自宅のお風呂で入浴したい」などのニーズが考えられます。
また社会との関わりであれば、「地域行事に参加できるようになりたい」「長女の自宅を訪れてみたい」なども考えられます。

※ 表現として、~したい」「~なりたい等の前向きなものが推奨されているようです

ひとりひとりのきめ細かいサービスを考えると、利用者毎に手入力することも考えられますが、ここでは早く良質な計画を立案することを前提に、「アセスメントシート」の項目毎に分類した「課題(ニーズ)マスタ」を用意することとします。

マスタの具体的内容は、(有)ライフステーションさまのHP に適切な例が掲載されていましたので、この例をもとに、上記14項目をキーとして分類したものを次の例のように「課題(ニーズ)マスタ」に登録し、それらから利用者に最も適したものを選択することにします。

(課題分析項目)「IADL」
⇒(ニーズ1)「自分で金銭管理したい」
⇒(ニーズ2)「自分で調理したい」
⇒(ニーズ3)「買い物に出かけたい」
⇒(ニーズ4)「自室を常に整頓しておきたい」

ただし、各利用者に固有の表現(**シニアクラブなど)や、特殊なニーズにも対応するために手入力で修正・追加も可能にします。

3-2、目標

各ニーズ毎に、長期・短期で目標と期間を決定します。

3-2-1、長期目標・短期目標

これは、3-1項の各ニーズをキーに定義することができます。
例えば、「歩けるようになりたい」というニーズであれば、「市役所まで歩いて行ける」という目標が考えられます。
また、「安全に家の中を動けるようになりたい」であれば、まず「立ち上がり、移動動作がふらつかないでできる」を目指すことが考えられます。

ここも、具体的な内容は (有)ライフステーションさまのHP の例を参考に「目標マスタ」を用意し、それらから選択できようにします。
このとき、「短期」と「長期」を区別するかが問題となりますが、ある目標が、自立度の比較的高い利用者には「短期」であっても、自立度の低い利用者にはハードルが高く「長期」に当てはまる場合もあるので、あえて区別はせず、難易度レベル順に並べて登録することとします。

また、各目標は、場合により複数のニーズに対応するキーに分類できますので、次の例のように「課題(ニーズ)マスタ」に関連付けておきます。

(ニーズ)「自分で排せつができるようになりたい」
⇒(目標レベル1)「規則的な排便の習慣が身につく」
⇒(目標レベル2)「介助にてポータブルトイレへの移乗ができる」
⇒(目標レベル3)「ポータブルトイレへの移乗ができる」
⇒(目標レベル4)「自分でポータブルトイレを使うことができる」
⇒(目標レベル5)「介助にてトイレに行くことができる」
⇒(目標レベル6)「自分でトイレに行くことができる」

3-2-2、期間

それぞれの期間は、aa年bb月cc日~xx年yy月zz日 と記入する例が多いようですので、この表記でカレンダー入力できるようにします。


3-3、援助内容

各目標を達成するための援助(サービス)内容を決定します。
※ ひとつの目標を達成するのに、複数のサービスを提供する場合もあり、これは後項で検討します

3-3-1、サービス内容

これは、事業所(委託先を含む)・医療・家庭などで提供可能なサービスの内容を列挙します。
例えば、「ヘルパーによる調理サポート」「医師によるリウマチ治療」などが考えられます。

サービス内容は、事業所によりほぼ一意に決まるものと思われますので、「サービスマスタ」を用意しておき、それから選択できるようにします。
ただし特別なサービスの提供を考慮して、選択以外に手入力が可能にしておきます。

3-3-2、「※1」(保険給付の対象となるかどうかの区分)

提供可能なサービスが、介護保険給付対象であるかを判別するものです。
これは、以降検討する給付処理で重要な情報となります。
判別の根拠として、以降検討する「サービスコード一覧表」を参照し、「サービスマスタ」に予め登録しておき、サービス内容を選択すると自動で反映されるようにします。

3-3-3、サービス種別

サービス内容がどんな種別であるか明確にします。
この種別は、まず、第一回で説明しました居宅サービスの分類15項目が該当します。
15項目は以下の通りでした。

 ①訪問介護
 ②訪問入浴介護
 ③訪問看護
 ④訪問リハビリテーション
 ⑤通所介護
 ⑥通所リハビリテーション
 ⑦居宅療養管理指導
 ⑧福祉用具貸与
 ⑨短期入所生活介護
 ⑩短期入所療養介護
 ⑪痴呆対応型共同生活介護
 ⑫特定施設入所者生活介護
 ⑬福祉用具購入
 ⑭住宅改修
 ⑮居宅介護支援

上記は介護保険制度の管理範疇のサービス種別ですが、それ以外に、以下のようなサービスも当てはまります。

・医療機関等による診療
・ボランティア等によるサービス
・家族による介護

これらをそのまま「サービス種別マスタ」と定義し、「サービスマスタ」を関連付けて、自動で反映されるようにします。
例えば、以下のような例が考えられます。

(サービス)「ポータブルトイレ導入」
⇒(種別1) 「福祉用具購入」(ほとんどこれ)
⇒(種別2) 「福祉用具貸与」(サイズなどが合うか試用してみたいとき等)
⇒(種別3) 「訪問リハビリテーション」(その都度ヘルパーが持ってくる場合等)

3-3-4、「※2」(当該サービスを行う事業所)

選択されたサービスが、どの事業所で提供されるか明確にします。
これは、業務を依頼している事業所を「提携事業所マスタ」として登録し、さらに「サービス種別マスタ」「を関連付けておけば、決定した種類のサービスを依頼できる事業所を選択することができます。
例えば、

(事業所)「あおぞらケアサービス」
⇒(種別1) 「訪問介護」
⇒(種別2) 「訪問入浴介護」
⇒(種別3) 「訪問リハビリテーション」

(事業所)「しあわせグループホーム介護事業部」
⇒(種別1) 「訪問入浴介護」
⇒(種別2) 「訪問看護」
⇒(種別3)「居宅介護支援」

のように登録されているとき、サービス種別が「訪問入浴介護」であれば、上記ふたつの事業所が逆引きヒットして選択できるようになります。

3-3-5、頻度

選択されたサービスをどの位の頻度で提供するか決定します。
具体的な曜日・時間まで記述された例もありますが、それらは次回「週間サービス計画書」で明確にすればよいので、ここでは、シンプルに以下のような要素を列挙して、選択するようにします。

・常時
・随時
・毎日
・一日おき
・週2~3回
・週一回
・月2~3回
・月1回

3-3-6、期間

各サービス毎に、実施予定期間を設定します。
3-2-2項と同様に、aa年bb月cc日~xx年yy月zz日表記でカレンダー入力できるようにします。

3-4、複数サービスの列挙

ひとつの目標を達成するのに、複数のサービス提供が必要な場合が出てきます。

サービス提供側に何の制限もないと仮定すると、あるニーズ目標を達成するために、複数のサービスを提供し、さらにそれぞれのサービスを実現するために複数の種類や事業所を割り当てることも考えられなくありませんが、開発の難易度が相当高くなってしまいますので、今回は、以下の方針で検討することとします。

・ひとつのニーズ目標を達成するためのサービス内容は、複数(とりあえず最大4つ)設定できる
・ひとつのサービス内容を提供するための種別・事業者は、それぞれひとつだけ選択して設定できる

例えば、「自宅で入浴したい」を達成するために、「入浴補助いすの導入」と「ヘルパー派遣」を組み合わせて提供することが考えられます。
このとき、「入浴補助いすの導入」サービスの種別は「福祉用具貸与」ひとつとし、貸与先事業所もひとつにします。

これらを様式に書いてみると以下のようになります。


※ シンプルで分かりやすく、妥当ではないかと思います

4、まとめ

・様式は定められており、項目は全て指定されている
・以下のマスタを用意する
 「課題(ニーズ)マスタ」(課題分析に関する14項目をキーに列挙)
 「目標マスタ」「課題(ニーズ)マスタ」を関連付け 難易度レベル順に列挙)
 「サービスマスタ」(自社・提携事業所・医師・家庭・ボランティアで提供できるものを列挙)
 「サービス種別マスタ」「サービスマスタ」を関連付け 居宅サービス15項目+医療・家庭・ボランティア)
 「提携事業所マスタ」「サービス種別マスタ」を関連付け サービス種別から逆引き選択)

・ひとつのニーズに対して最大4サービス登録できるが、ひとつのサービスに対して種別と事業者はひとつのみ


5、次回の予定

次回は「週間サービス計画書」について調べます。
今回はこの辺りで…