2013年3月24日日曜日

Ni-MH充電器の製作(1,2)


はじめに

更新が遅れまして申訳ありません。

使用しているニッケル水素(以下Ni-MH)電池の充電器の調子が良くなく、買い替えようかと思いましたが、AVRマイコン(以下AVR)のPWM機能を使ったDC-DCコンバータの検討ができる良い機会と考えて、製作を開始することにしました。

なお今回のテーマから、検討・製作過程を、都度報告することに致しました。


1、構想

以下1.1~1.3項の構想から、基本仕様を次の通り定めます。

(1) DC-DCコンバータ方式による低損失充電

(2) 単4形(750mA)、単3形(1300mA)、単3形(2400mA)の充電に対応

(3) 一本・二本そして四本同時の充電に対応

(4) Ni-MH充電方法として推奨される、定電流充電

(5) 満充電の検出として一般的な、電圧検出方式を採用

1.1 充電制御

冒頭で記しました通り、AVRのPWM機能を活用したDC-DCコンバータを構想の起点として、電池毎に適切な充電を行うことにします。

ここでAVRに何を使用するかですが、PWMにおいて性能を求めるならば、「ATtiny862」等になりますが、ここでは、手持ちの「ATmega168」を試用して様子をみることにします。

1.2 充電状態検出

一般的に、Ni-MH充電池の充電状態の検出は、

・一定電流(通常、定格の1/10)を流し、終止電圧(通常、1.4V)になるまで続行する。
・一定電流(同上)を流し、一定時間経過するまで続行する。
・上記両方

の方法がありますが、今回使用する「ATmega168」は、10ビットADコンバータを6系統内蔵していますので、このうち2系統を使い、一定電流制御と、終止電圧検出の双方に対応することにします。

次に時間管理ですが、一定時間で充電を打ち切る方法は、ばらつきが大きく、特に充電回数を経るにつれて満充電に達しない場合が多くなるので、今回は実装しないことにしました。

1.3 利便性・操作性

現状出回っている電池に、できるだけ対応することを考えると、最低、単4形(750mAh程度)と、単3形(2000mA程度)への対応が必要です。また、今後増えてくるハイパワー形(2400mAh程度)までの対応を考慮したいと思います。

また、同時に充電できる本数ですが、現状身の周りには、一本だけ使用・二本使用・四本使用の機器で全て(三本というのは無かった)なので、まずはこの3パターンに対応したいと思います。

上記より、電圧の範囲は、
・(一本の最低充電電圧)~(四本の充電終止電圧) = 1.0V ~ 5.6V

また電流の範囲は、
・(単4形の充電電流)~(単3ハイパワー形の充電電流) = 75mA ~ 240mA

幸い、DC-DCコンバータは、少ない損失で幅広い電圧・電流の制御が期待できるため、上記にそのまま対応することにします。


2、試作回路

上記仕様を満たす試作回路を、次の通り考えます。
作図は、例によってフリーソフト「bsch3v」を使用しました。



一般的な、降圧形DC-DCコンバータ+「ATmega168」による制御回路となっています。

AVR・半導体素子は、全て手持ちの流用です。

Q13は、高速スイッチング用の一般的なPチャンネルMOS-FETです。
D12bは、同じく高速スイッチング用のショットキーダイオードです。
D12aは、電池から回路への逆流防止用です。D12がペアダイオードであったので、もう片方が利用できる位置ということから、Q13の直後に挿入して実験してみます。

R15&16が電圧検出用、R17は電流検出用の抵抗です。

Q12、D11は、Q13のゲートを速やかに放電するためのバッファです。無ければ回路は単純になりますが、特にオフ時に遅延が過大であることが自明なので、今回は最初から挿入します。

Q11は、Q13およびQ12をドライブするものですが、トランジスタとFETでスイッチング性能が変わるか実験してみます。

D1~D8、SW1~SW3は、まずは単に必要な表示・操作項目に応じてぶら下げました。
D1~D8は、秋月電子で最近発売された、抵抗内蔵LEDを使ってみます。

定数・電圧で、値が?となっている箇所は、今後の検討の中で決定して行きます。


次回の予定

次回は、最初の山となる、DC-DCコンバータ部の定数の検討を行う予定です。