2014年7月2日水曜日

人感センサーライトの製作


夜間の玄関・廊下・トイレなどを通るときに、自動で点灯する「人感センサーライト」を製作し、自身以外に、実際に使用して頂くことになりました。

以下はその報告です。

※ 今回は、完成後の報告一回となりますことをご了承願います。


1、仕様

安全性・利便性・保守性を考慮して、以下の仕様で製作します。

(1) 設置場所を選ばず、漏電リスクなどの無い電池駆動とする。
(2) 薄暮でも点灯可能なように、感度調整ができるようにする。
(3) 電池交換が容易になるよう考慮する。
(4) 複数製作するため、性能を維持する範囲で、回路をできるだけ簡略化する。


2、設計

この種の製作情報は多数ありますが、その中でも、最も仕様に近い、「電子マスカット」さまの製作品(以下オリジナル品)を参考にして、設計しました。
マイコン1個でできないか検討しましたが、スリープから復帰させるための回路を追加すると、回路規模のメリットは無くなってしまい、結局オリジナル品の基本構成が最良との結論になりました。


2.1 回路

1(4)項の通りの事情により、回路を大幅に簡略化しています。その回路を以下に示します。



2.1.1 特記説明

オリジナル品の、初段モノマルチ(= モノステーブルマルチバイブレータ)は省略しました。

また、現場で感度調整を行い易いように、モニタLED (D2) をコンパレータ (IC1) 出力側に移動すると同時に、終段モノマルチ (IC2) を調整時に無効にできるジャンパピン (SW1) を追加しました。
※ これにより、モニタLEDを見ながら感度調整できるようになりますが、昼間は同LEDが点灯しなくなります。

さらに照明用LED (D3) 周辺は、DC-DCコンバータを省略し、電池から直接、LED一個を点灯しています(2.2項 LEDの記述を参照)。

回路定数が若干異なりますが、抵抗値に入手し易い値を使ったことと、ボリュームの調整範囲が狭くなる(クリチカルにならない)ようにしたためです。

2.1.2 消費電力

常時流れる電流は、電子マスカットさまのデータを流用させて頂くと、

170uA + 15uA + 4uA + 9.5uA = 198.5uA … ①

LEDの消費電流は、上記定数で約16.5mA で、仮に一日10分点灯と仮定すると、平均値は、

16.5mA × 10分 / (24時間 × 60分) = 114.6uA … ②

総消費電流は、①②より、198.5uA + 114.6uA = 313.1uA … ③

電池の容量を、仮に1200mAhとすると、③ より、

(1200 × 1000)uA / 313.1uA = 3832時間 = 160日

半年弱程度は持つことが期待できますので、この回路及び定数で製作を進めます。


2.2 部品

人感センサは、オリジナル品と同様、パナソニック電工のNaPiOnセンサ「AMN31111」を使用します。
本品は、各通販サイトで販売されています。また、同電工のサイトで直販もされています。

コンパレータは、消費電流が少ないCMOSオペアンプを転用します。入出力電圧が 0V ~ Vdd まで対応するために、「レールtoレール」型を選ぶ必要があります。

CdS(= 硫化カドミウム)センサは、暗抵抗1MΩの品を使用しました。

モノマルチは、一般的なCMOSモノマルチである、「74HC123」を使用します。リトリガブルなので、センサが反応するたびに発生パルスが延長します。これにより、センサ近辺に人がいる限り、点灯し続ける状態が保証されます。

LEDは、パワーLEDは大げさだし…と思っていた矢先に見つけた、秋月電子の4.8mm 3チップ白色LEDを使用してみました。


2.3 基板レイアウト

複数台製作と言っても数台なので、今回もユニバーサル基板に手組みします。
例によって、ICB-86基板のパターンを活用しました。

パターン図を以下に示します。


※ ピンク矢印一箇所のみ、パターンカットします。


3、製作

3.1 基板

パターン図に従って、以下のように実装しました。
各LED・CdSセンサは、ケース表面に位置させるために、チューブでかさ上げします。



裏面の状況は以下の通りです。



3.2 ケース

ケースは、保守性の良い、「嵌め込み式」のタカチ SWシリーズを使用しました。
将来の拡張性(ACリレーなど追加)を考慮して、大きめの SW-125 を選んでいます。

電池交換を考慮して、フタの方に実装します。
以下のように、ビス・センサ・LEDそしてボリューム用の穴を開けます。




3.3 組み立て

SW-125のフタ部に以下のように実装すると、フタを外して容易に電池が交換できます。
電池ボックスを、もう一枚の基板にビス止めして、SW-125のフタ部に取り付けます。



この状態で動作確認を行い、ケース本体に嵌め込めば完成です。




4、完成

3チップ内蔵LEDの明るさは絶大で、一個でも廊下周辺を照らすことができます。
直視すると目が痛い位なので、LEDを下向きに実装するバージョンを用意したほうが良いかも知れません。
また、消費電流をもう少し許容するなら、LEDの定格近くまで電流を流し、散光キャップなどを装着すれば、もっと面として明るさが確保できるかも知れません。



最後に、本製作の参考とさせて頂きました 電子マスカットさまに、この場を借りて御礼申し上げます。

次回は、キットを活用した電源を予定しています。